822:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:15:49.48 ID:In4DJ8ILo
美人が奥から出てきた。
すらっとした身体が薄手のシャツとスウェットで包まれている。
眠たげにあくびをしてから、台所へ向かって、水道の水をグラスに汲んでから一気に飲み干した。
長い睫毛、細い指先。線の細い印象があるのに、張り詰めたような強い存在感がある。
「ちい姉、お客さん」
とすず姉は言った。
ああ、ちい姉だ、と俺は思う。
「……ん」
と頷いて、彼女は俺たちを見た。
「ちい姉、寝てたの? ていうか、いたの?」
「うん」
見た目とはあんまりそぐわない、眠たげで甘ったるい声が、ゆったりとした話口調が、なんとなく意外に思える。
あの頃、遊馬兄や静奈姉と話していたときは、もっと緊張感のある話し方だった気がする。どこか切羽詰まったみたいな。
家族に見せる顔は、また別だということだろうか。
それとも、彼女も変わったのか。
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