9:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:19:20.32 ID:0oXNO4iLo
高森はつまらなそうな顔をしていた。
でも、俺は自分の高校生活の一年目に、これといった不満があったわけでもない。
クラスメイトとの仲だって悪くなかったし、これといったトラブルに巻き込まれた記憶もない。
派手に遊んだり騒いだりってこともなかったし、恋愛関係の出来事なんて皆無だったけど、けっこう楽しかった。
「じゃあ、高森はああいうことしたかったわけ?」
「ああいうことっていうと?」
「つまり、放課後、校舎裏、ふたりきり、みたいなこと」
「そう言われると、そうでもないんだけどね」
肩をすくめて、高森は溜め息をつく。そこで会話は終わった。
文芸部室にふたりきり。もともと部員数の少ない部活だけど、今日はいつもより人数が少なくて、なんだか気だるい。
本を読んで、ときどき適当に何かを書いて、あとは年に四度、部誌を出すだけの部。
退屈ってわけでもないけど、情熱を燃やすような部活でもない。
「彼氏ほしいなあとかも思わないんだよね、不思議とさ」
「そういうもん?」
「自分の時間が減っちゃうからなあ」
「趣味人はたいへんだねえ」
からかうつもりもなくつぶやくと、彼女はジトッとした視線をこちらにぶつけてきた。
よくは知らないが、高森は昔からネットゲームにハマっていたらしくて、そのなかで友達がたくさんいるらしい。
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