904:名無しNIPPER[saga]
2016/03/23(水) 00:05:28.42 ID:GUkSZoj/o
「わたしが、もしも、もう少し強かったら、もう少し器用だったら、もう少し周囲に溶け込めてたら……。
そう思うときもあるけど、もしそうだったらわたし、きっと……遊馬に会えてなかったんだよ」
「……」
「遊馬に会えたから、わたしにとって、わたしの失敗も、不器用さも、臆病さも、嫌いな思い出も、意味が反転したんだ」
経路。反転。
「ひとつでも欠けたら遊馬に会えてなかったなら、わたしはこんなふうでよかったって思えた」
「……」
「禍福は糾える縄の如し、人生万事塞翁が馬、終わり良ければすべてよし」
「……」
「もちろんだからって、つらいことのあとに必ず良いことがあるとか、そんなふうに思うわけじゃない。
でも、何かが起こって、全部のことの意味が変わってしまうことが、ときどき、あるんだよ。
その幸運に恵まれて、それを嬉しく思えたら、それを幸福と呼ぶんだと、わたしは思う」
「……」
「大嫌いな自分が、思い出したくない過去が、『だからこそ』に繋がったら、もうそれは受け入れがたいものじゃなくなるんだ」
「……」
「だからきっと、わたしは不幸じゃなかったんだよ」
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