過去ログ - 屋上に昇って
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980:名無しNIPPER[saga]
2016/04/02(土) 00:53:08.69 ID:PCQym4Teo

「昨日、孝之に問い詰められたよ」

「……」

「あいつ、やっぱり、俺を庇ってるつもりだったんだな」

 そう言って彼は、ポケットから小さな腕時計を取り出した。
 形見だ、と彼が言っていた。そんな記憶がある。

 鷹島スクイはその話を、『あっち』の文芸部室で会ったとき、嵯峨野連理から聞かされていた。

 嵯峨野葉羽の、形見。

 それを探して死んだ、と、誰かが言っていた。

 でも、それを、嵯峨野連理は持っていた。

「きみも、俺のせいで葉羽が死んだと思う?」

「知らない」と俺は言った。

「俺はその場にいなかったから」

「違う」と嵯峨野は言う。




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