14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/17(火) 00:41:00.76 ID:/ylhE4Sso
「先輩……昨日私の隣にいた子、覚えてますか?」
「え……?」
「私は今……あの子とお付き合いしています。ただの友達関係じゃないんです」
「え、えっ!?」
「私には付き合ってる人がいる……だから今の吉川先輩を見ても、怒る気持ちも何にも湧いてきませんよ。妬みも悲しみもしないです……まあ、喜びもしないですけどね」
「…………」
今日私が吉川先輩に言いたいことは、大きく分けて二つあった。そのうちのひとつを早速伝え終わる。
昨日街中でばったり出くわして、その後妹づてにアドレスまで調べて「会いたい」だなんてメールを送る……つまりはそれほどまでに心配していたのだろう。私と離れたこの四年間の中でも、心のどこかで私のことが気がかりになっていたのかもしれない。
ちなつちゃんによく似た大きな目をもっと大きく開きながら驚愕している昨日の吉川先輩を思い出すと、こちらとしても不安を拭ってあげたいという気持ちがあった。
「先輩は今……赤座先輩とお付き合いしてるんですか? 同じ大学なんですか?」
「ええ……でもお付き合いを始めたのはつい最近なの。ほ、本当よ?」
「……ふふ、疑ってませんよ。でもだとしたら、ずいぶん奥手だと思いますけどね」
「……そうね」
吉川先輩の手はまだ私の手を握っている。はたから見たら私たちはどんな関係に見えるだろうか。公園で手を繋ぎながら俯いている高校生と大学生……これが四年前なら、まだもう少し友達同士に見えただろうに。
私はその手を軽く握り返しながら、今日言いたかった二つ目の本題に入る。
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