10:名無しNIPPER
2015/11/21(土) 13:22:54.35 ID:hffjjocfo
「そうだ!悲劇は起こったがお前に悪意はなかったんだ!ならば生き続けてその者を想うことがお前の責務じゃないのか!?」
「確かに王の選定は必要かもしれないが、お前の死と引き換えにやることではない!セイバー、お前は死んではだめなんだ!」
「もう一度受けた生を無碍にするのは絶対に間違っている!」
士郎の発言のすべては士郎個人の救済に帰結すること、つまり我が身の可愛さに繋がることはいうまでもないが、士郎の言い分が一概に間違っているとはいえなかった。
このセイバーの価値観と士郎の価値観はどちらが正しいという明確な答えのない問題であり、和解以外に解決の方法がないのである。
セイバーは死んでまで王の選定を行うことを責務と考える一方、士郎は苦しみながらも生き抜くことが責務であると主張する。
しかしセイバーにはどうしても士郎の自己中心さを助長する材料としか捉えることしかできなかった。
「……」
無言のセイバーの瞳は凛として士郎の事を真っ直ぐ見つめる。
腹をくくった人間の顔はこんなにも逞しく、恐ろしく、美しい。
「貴方には感謝をしています……」
「なっ…!お、おい!」
セイバーはこの言い争いを中断する形をとり、ゆっくりとした動作でもって剣を構えた。
その剣の先には聖杯――――。セイバーの意思はなによりも固く、悲劇をもたらしたとはいえ王の資質と呼ぶべきであった。
彼女もまた、心の奥底では士郎と共にあり続けたいと欲しているのだから……。
「セイバー!だめだ!」
65Res/47.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。