過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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108:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 23:41:38.61 ID:jnRZeB6L0
目的のラクダを堪能したあと、ながらかな丘上になっているところまで登るとその先に海が見えた。
広がる大海原に興奮したわたしは、大きな砂の坂のてっぺんから海めがけて思いっきり駆け下りた。
坂道は結構急で、駆け出した両足はとまんなくなって、少しでも躊躇すれば足を取られて転んでしまいそうだったから、勢いそのままに走り抜けた。
砂丘に入るとき借りた黒い長靴が、踏み出すたびにがっぽがっぽと珍妙な音を立てる。
一歩一歩足に絡みつく砂を振り払い、前だけを向いて全身で風を切って走る。
目の前には空と海。そのまま空まで飛べそうだった。
無事に坂を下り終えると、そこはもう波打際。
静かに打ち寄せる波。その向こうに水平線が青の濃淡をくっきり分けていた。
水平線の向こうには行ったことのない国があって、そこにはいろんな人がいて、わたし達と同じようにいろんな気持ちを抱えて生きているんだ。
でもそれはずっとずっと遠く、想像もできない世界に思えた。そのときは。
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