過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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38:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 22:07:56.13 ID:jnRZeB6L0
いつまでもこっちを見ようとしないりっちゃんにひと言投げつけて、わたしはそのまま家を飛び出した。
追いかけてきてほしかったのかもしれないし、わたしが出てったらりっちゃんは勝手に帰るわけにいかないだろうという計算もあった。
夜の街を当てもなく歩き続けて、橋の真ん中で立ち止まった。
見下ろした川の流れは暗くてよく見えないけれど、さらさらと流れる音は聞こえた。
見知った街なのに、今自分がどこにいるのかわからなくって、
果たしてこのまま家に帰れるのか不安がよぎる。
いつまでも同じところにいられないのか、
同じところにいるつもりが知らない間に別のところにきてしまったのか、
今が一体そのどちらなのかわからない。
心も身体もなにもかも、迷子だ。
暗闇に目が慣れて、川の流れが見え始めた。
さらさらと水が流れていく。
いい年こいた女が、ひとりぼっちで真夜中に橋の真ん中から川を見下ろしているのはわかる。
ずっと続くものなんてないんだ、という随分昔に経験した当たり前のことを思い出しながら、足元の石ころを拾い上げ、夜の川に放り投げた。
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