過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:07:44.79 ID:jnRZeB6L0
玄関先から灯りが漏れている。
駅から家まで、歩いて五分。走れば三分。傘がなくてもなんとかならなくもない距離だけど、秋の夜寒を雨に打たれて風邪でも引いたら元も子もない。ありがとね、りっちゃん。
わたしとりっちゃん。
大学卒業後、地元で就職したのはけいおん部の中でわたし達二人だけ。
りっちゃんは毎日のようにウチに遊びにやってくる。
ウチの憂やりっちゃんとこの聡君が結婚してからは特に。
先に帰った方が料理作って待っていて、二人揃ったらお酒飲んでお風呂入ってそのまま寝て起きて出勤。
その繰り返し。
気分は学生時代そのまんま。独り身の女二人、気楽でいいね。
閉じた傘をふるふると振って雨粒を飛ばし、閉じずにそのままドア横に立てかける。
「今日は豆乳鍋だぞ。今夜はちょっと寒いし」
同じようにりっちゃんもふるふると傘を振って雨粒を飛ばし、ドア横に立てかけた。
「ありがと。悪いね、いつも」
「いーえ。こちらこそ。今日は早番だったからな」
りっちゃんが仰々しく頭を下げてみせる。
その拍子にわたしの赤色の傘がツーっと倒れて、りっちゃんの黄色の傘に寄りかかっていった。
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