過去ログ - 【安価・コンマ】七つの家出聖杯戦争Ⅳ【募集系】5　三日目・朝～ -SS速報VIP

過去ログ - 【安価・コンマ】七つの家出聖杯戦争Ⅳ【募集系】5　三日目・朝～

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891: ◆BX96/KwFHU[saga]
2015/12/10(木) 21:55:20.21 ID:MeOXTra0o

　「……一人のお姫様がいました。一人の魔王がいました。

　　魔王は、お姫様の首に錠を嵌めて、自分の手元から離さないつもりです。

　　お姫様は賢明に逃げて、逃げて、ようやく一つの町に辿り着きましたが、それでも、魔王は追っ手を差し向けて、

　　決して逃がさないよう、手を伸ばしてくるのです」

　「……？」

　「お姫様は、私。そして魔王は――――『アンジェラ・チェーザリ』」

　「……！」

　「お願いします。私を魔王の手から、救い出してください」

　そう言うと、コルネリアは顔を上げる。
　その目は涙で潤んでいた。

　白銀が息を呑んだその一瞬に、彼女は白銀に抱きついた。

　『アンジェラ・チェーザリ』という名前。
　『コルネリア』という女性から発せられた、悲痛な声。
　その不穏な態度と、幻惑するような場の雰囲気。

　ただ騙すつもりならば、この名前が出てくるはずがない。
　ただ偽るつもりならば、この名が発せられるはずがない。

　彼女の話が事実ならば、かつて瀬分町を訪れていたその死徒は、
　今は一人の女性を囚われの身にして、弄んでいたということなのだろうか。

　戸惑いと混乱でしばらく声が出せなかった白銀だったが、しばらくすると意を決したように目筋をきりりと立てて、
　コルネリアの肩を抱き寄せた。

　「……分かりました。私を、頼ってください」

　「！　ありがとうございます……貴女は私の、王子様ですね」

　そう言って、コルネリアは微笑みを浮かべた。

　蠱惑的なその笑顔は、その気のある白銀にとっては、冷静な判断力を失わせるだけの力が合った。

　―――――少なくともコルネリアは、そう考えていた。

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