過去ログ - 【咲-Saki-】咲「私が…贄…？」【たまに安価】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲-Saki-】咲「私が…贄…？」【たまに安価】

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1: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:35:02.76 ID:qhDNFqq10
オリジナル設定百合アドベンチャー

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2: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:36:31.11 ID:qhDNFqq10
誰かが呼んでいる。
ぬるく澱んだ水底から、暗く深い声が呼んでいる。

(来ヨ……)

3: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:37:40.43 ID:qhDNFqq10
咲が重い瞼を押し開くと。
姉の照が思案げに眉をひそめ、覗きこんでいた。

咲「お姉ちゃん……？」

4: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:40:08.82 ID:qhDNFqq10
咲は制服に着替えてリビングへと向かう。
食卓には姉がコーヒーカップを傾けている姿があった。

照「さあ、早く食べてしまいなさい。転校初日から遅刻したくないでしょ？」

5: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:42:08.48 ID:qhDNFqq10
両親が事故で亡くなった当時。
あの頃、すべてを拒んで閉じこもるしかなかった咲を救ったのは姉だった。

それだけで十分だ。
これ以上、自分のことで姉に迷惑をかけたくはなかった。

6: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:44:06.88 ID:qhDNFqq10

――――――――――

咲が食事を済ませて身支度を終えた頃。
来客を知らせる呼び鈴が鳴った。

7: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:46:05.58 ID:qhDNFqq10
良子「まあ、あまり久しぶりって気もしませんけどね。二週間前も一緒に食事しましたし」

照「そうですね」

良子「あ、引っ越しの日は手伝えなくてソーリーでした。人手が足りないって駆り出されてましたので」

8: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:48:16.09 ID:qhDNFqq10

――――――――――

良子が運転する車の助手席に収まった咲は、
窓の外の景色に目を向けていた。

9: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:51:03.37 ID:qhDNFqq10

――――――――――

正門を横切り、職員室の駐車場に車を停めると。
良子は校舎を仰ぎ見る咲に言った。

10: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:54:43.81 ID:qhDNFqq10

――――――――――

感情を出さないように気をはりながら。
咲は自分を紹介する担任の言葉を聞いていた。

11: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 16:57:40.17 ID:qhDNFqq10
昼を知らせるチャイムの音に、生徒たちは各々の予定に従い、席を立つ。
校内には生徒が自由に利用できる食堂と購買部が用意されている。
良子の「お昼は一緒に食べよう」との言葉を思い出し、咲も席を立った。
これまでの休み時間と同様、話しかけたそうな生徒を寄せ付けない態度で咲は教室を出ようとした。

12: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:00:41.31 ID:qhDNFqq10
由暉子「お屋敷の広いお庭で、遊びましたよね。覚えてませんか……？」

その言葉で、目の前の少女が記憶のなかの面影と重なった。

この街で過ごした最後の数か月。

13: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:02:43.38 ID:qhDNFqq10
穏乃「何でだよ！たった一言でいいのに、何であの時引っ越すって言わなかったんだよ！」

咲「あ、あの……」

穏乃「ずっと、黙っていなくなった咲のこと、心配してたんだよ……」

14: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:04:27.48 ID:qhDNFqq10
咲は他人に触れられることを極端に嫌っていた。
心構えができている時ならともかく、こんな風に突然触られることには慣れていない。
防衛本能が働き、自分でも意識しないうちに穏乃の腕から逃れる行動に出ていた。

穏乃「なんだよ、その態度！……あったまきたー！」

15: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:06:36.08 ID:qhDNFqq10
遠巻きに咲の様子を伺い、生徒たちが囁き合う。
咲は無言で机や椅子を起こしはじめる。由暉子も黙って咲の手伝いをした。
ようやく教室内が元のように動きを取り戻した。

穏乃「………」

16:名無しNIPPER[sage]
2015/12/06(日) 17:08:16.87 ID:vJYeaS41O
1

17: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:16:42.12 ID:qhDNFqq10
担任からの呼び出しを無視するわけにはいかず、
咲は職員室へと向かった。

咲が職員室に入り、担任教師の席までいくと、
穏乃はまだ来ていないようだった。

18: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:19:56.88 ID:qhDNFqq10
彼女が警戒するのも仕方ない。
真相がどうあれ、咲が前の学校を『教師に手をあげた』という理由で退学になったのは事実だったから。

担任「この学園で騒ぎを起こされては困るのよ。宮永さん」

19:名無しNIPPER[sage]
2015/12/06(日) 17:20:38.19 ID:9rVUHD3mO
1

20: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:33:26.51 ID:qhDNFqq10
咲「……私が先に手をあげました」

咲の静かな口調に、担任と穏乃はあっけにとられた表情で口論をおさめた。

穏乃「何言い出すんだよ咲！もとはと言えば、私が咲に絡んだことが原因なのに……」

21: ◆34iwA4dRok[saga]
2015/12/06(日) 17:37:40.35 ID:qhDNFqq10
穏乃「戒能先生、助かりました！」

良子「いえいえ。咲、転校初日から災難でしたね。大丈夫ですか？」

咲「うん……」

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