11:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 00:36:46.50 ID:6wSbO7neo
それから依頼を受けてから約一週間が経過し翌週の火曜日になった。
はっきり言ってめぼしい情報も進展もない。
唯一わかったことは、被害者の女子生徒は比較的大人しく、周囲との積極的に関わりを持つタイプではないということがわかった。
授業は真面目に受け、休み時間には読書か、体力温存の為か勤勉に睡眠を取っている。
うん……つまり俺と同類のタイプだ。
周囲に馴染めず一人孤立している………ぼっちなのだろう。
休み時間、彼女の方を見ながらそんなことを考えていると、「やあ、比企谷」と声をかけられる。
声の主は葉山だった。
相変わらず爽やかオーラ全開で空席だった俺の正面に座る。
「比企谷何かあったのか?」
周囲に聞こえない程度の声で爽やかな表情は崩さす、神妙な声色でそう言った。
「別に何もねえよ。少なくともお前には関係ない」
「そうか。ならいいんだが……最近結衣の様子が少し変で気になったんだ。まるで誰かの動向を気にしているような」
言われて由比ヶ浜の方に目を向けると、例の被害者の女子生徒をずっと凝視していた。
というか睨んでいた。
雪ノ下に頼まれて彼女なりに気合いが入っているのだろうが………。
しかし由比ヶ浜さん……あなた一番怪しいわよ……それとなく然り気なく観察しなさい。
「いや、大丈夫だ………心配ない。たぶん………」
俺は苦笑いで答えた。
いいタイミングだったので、俺は葉山に確認しておきたいことを聞いた。
「葉山、お前、目の前でイジメが起きたら止めるか?」
唐突で突飛な俺の問いに、少し考えるようにしてから葉山は答えた。
「止める………と言いたいところだがどうだろうな実際」
「意外だな」
「そうでもないさ。前にも言ったと思うが、俺は君が思っている程いい奴じゃない。それにイジメそのものを、どういうものか俺は理解していない」
ん?それはどういう意味だ。葉山の言葉が引っかかる。
俺はそのままの言葉で疑問を呈した。
「どういう意味だ?」
「俺は俺自身がイジメを受けたことがないと自覚している」
「………」
「でも周囲に疎外され、あるいは集団から一つの意思を向けられるという事がイジメであるなら………例えば比企谷、君が周囲から受けている扱いはイジメと言える」
「いや、それは……」
「それは君だから、折り合いを付けれて、今の状態を良かれと感じることができているだけだ」
「………」
「だから俺はイジメが起きていても止めるかはわからない」
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