13:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 00:43:56.55 ID:6wSbO7neo
「では、それぞれ被害者の生徒の動向を観察して気が付いたことを報告してくれるかしら」
放課後、部室にて平塚先生を含め件の問題について話し合いが設けられた。
「この一週間特に変わった様子はない。授業は真面目に受け、休み時間には読書か睡眠をしている」
「そうだね、大人しいっていうか…あんまり人とも会話しないっていうか。体育の授業中も一人で作業していることが多いかな」
俺と由比ヶ浜が報告すると雪ノ下は顎に手を当て悩むようにする。
「私は別に比企谷くんの動向を観察してほしいと、頼んだ覚えはないのだけれど…」
違うからね。俺じゃないからね。
大体合ってるけど違うからね。
さすがに冗談だったようで「つまり…」と雪ノ下は切り直した。
「被害者の生徒は比較的目立つタイプではなく、比企谷のように孤立しているタイプということになるのね」
雪ノ下さん、あなたもあまり人のことは言えないですよ。
「わかりました。では動きがあるまで引き続き………」
「そのことについてだが、俺に一つ提案がある」
俺は雪ノ下の言葉を遮り言った。
この辺りが頃合いだろう。
俺の発言に三人がこちらに振り向く。
「今回の件はセンシティブな問題だ。動きが起こるまで待っていても事態が悪化する可能性は高い」
「そうね。それはわかっているわ。しかし現段階では犯人を特定することも………」
「そこが間違っていたんだ」
「……どういうことかしら?」
「犯人を特定する?確かに推理小説の名探偵なら30人の容疑者リストから、数少ない情報で犯人を見つけ出すことができるだろう」
「………」
「ただし俺達は名探偵ではない。だから現段階で犯人を特定するのは不可能だ。それに時間がない。こうしている間にもイジメの被害を受けているかもしれない」
「だとすればどうすれば……」
「だとすれば、犯人を直接捕まえればいい」
「………!?」
三人がそれぞれ驚いたように表情を歪ます。
「現行犯逮捕ってやつだ。推理でも何でもない。力任せに捕まえるんだ」
「……そんな事が可能なの?」
雪ノ下が怪訝に問う。
「可能だ。確率で言えば50%だ。それに失敗したとしてもこの場合リスクはない」
正確には50%で成功する確率が50%だ。
即ち25%だ。
しかしこのやり方を通すには50%くらいの数値を提示した方が印象がいい。
「50%?成功か失敗?……それじゃあまるで詐欺師の方便ね」
「それでも試して損はないだろう」
「そうね。では聞かせくれるかしらその方法を」
俺と雪ノ下のやり取りに、由比ヶ浜はよくわかっていないような顔をしていた。
気にせず俺は話を進める。
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