15:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 00:53:48.25 ID:6wSbO7neo
翌日ーーー水曜日、放課後。
ショートホームルームも終了し、下校する生徒や部活に行く生徒が教室を次々と後にする。
その中には例の被害者の女子生徒も含まれていた。
念の為、今日も一日、動向を観察していたが特に変わった様子はなかったように思う。
まだ教室には自習や雑談をする生徒が僅かに残って居る為、教室が無人になるまではまだしばらく時間がかかるだろう。
俺はその間に平塚先生と合流する為、部室に向かった。
部室に入ると雪ノ下と由比ヶ浜はまだ来ていないようで、平塚先生が一人、パイプ椅子に腰かけて西日に染まる窓を眺めていた。
なんだかこの人は何をしても絵になるな。
「おう、比企谷」
「どうも」
と挨拶を交わし俺も定位置に座った。
部室で平塚先生と二人きりになるのは何だかんだ初めてだな。
何故か気まずい………。
しかしこの状況は好都合だ。
俺は平塚先生に聞いておくべき事を聞いた。
「先生、策を実行に移す前に最後に一つ確認しておきたいことがあるんですが」
「……なんだね?」
特に意など決さず、当然のように俺は言う。
「今回のイジメの件、やはり他の職員に相談すべきてはないですか?」
「………?」
先生は眉を上げほんの僅かに驚いた表情をした。
「それは初めに説明した通りだ。被害者本人が『公にはしたくない』と言っている為それはできない」
先生は毅然とそう述べた。
そう被害者はもちろん公にはしたくない、と言うだろう。
イジメが露見するのは、元から孤立しているタイプの被害者からしてみればデメリットの方が大きい。
それはわかる。
しかしーーー。
「公にしたくないのは、被害者本人だけですかね」
「……どういう意味だね…?」
「イジメが公になると、被害者の他にも困る人物がいる………」
「………」
「それはイジメが発生したクラスの担任教師です。つまり平塚先生あなたです」
「………!?」
「イジメという事件が発生した事が露見すると、教員の間でイジメが発生したクラスの担任教師の評価が下がりますよね。それに、責任問題に発展する可能性だってある」
平塚先生は黙って話を聞いていた。
その無言を肯定と受け取り俺は話を続けた。
「平塚先生はそれを恐れた。そして自己の範囲で解決しようと、自身が顧問を務める奉仕部に犯人探しを依頼した」
「………」
「犯人さえ見つかれば先生から直接指導を行い、イジメの事件は表面上『無かった事』にできますからね」
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