18:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 01:17:26.91 ID:6wSbO7neo
あれから数日が経過し、イジメについては粗方解決したらしい。
もちろん学内でもイジメについての問題は大きく取り上げられていた。
しかしまあ平塚先生のことだ、上手くやっているだろう。
そんなことを考えながら俺は放課後、部室の扉を開けた。
「あらこんにちは、 比企谷くん」
「おう。由比ヶ浜はまだ来てないのか?」
「彼女、補習があるそうよ」
「そうか」
俺は定位置に座り、いつも通り本を開いた。
ちなみに雪ノ下と由比ヶ浜にはあの日の翌日、その後の経緯を簡単に説明していた。
ただし一部分、平塚先生のことを除いて。
平塚先生にも立場というものがある為、俺の判断で二人には伏せている。
「そういえば比企谷くん、例のイジメ事件に関して粗方の解決をみせたらしいわよ」
「らしいな」
本を読みながら適当に返事をする。
「何でも体育の授業中に、例の被害者の女子生徒を、E組の女子数名が嫌がらせをしているところを三浦さんが見つけて咎めたそうよ」
それは想像しただけで怖い………。
そう、そして今回唯一救われた点はイジメを行っていたのが、E組の生徒であることだ。
イジメの被害者はF組の生徒だが、イジメを行ったのは別のクラスの生徒。
つまりこれは皮肉にも、平塚先生の担任教師としての責任は半減するということだ。
「その後は由比ヶ浜さんが平塚先生に報告して、先生が対処し解決したそうよ」
「みたいだな」
「そして、そのE組のイジメをした女子生徒数名は停学などの処分を下された。けれど……」
ここで雪ノ下は言葉を区切り強調した。
「何故かその女子生徒数名は、先生とは別に、葉山くんからも今後イジメはしないように、と釘を打たれたそうなのよ」
「………」
「いえ、葉山くんの場合、『釘を打つ』というよりはフォローを入れたというべきかしら」
三浦優美子に咎められ、葉山隼人にフォローされる。
俺が女子ならトラウマになるレベルだ。
イジメをなんて二度としたくなくなるだろう。
「それでもう、イジメが起きないならいいことじゃないか?」
「ええ、そうね。けれど比企谷くん……この話、上手くいき過ぎじゃないかしら」
「そうか?」
「とぼけないで。あなた今回の件、一体どこまで手を回したの?」
「人聞きが悪いな……俺は葉山が『協力する』と言ったから協力してもらっただけだ」
それがどういう解決方法だったかはわからないが、イジメの根本的な解決には平塚先生が自ら手を下した。
しかしそれ以前の問題、犯人を特定するとなると、教員の平塚先生一人では困難だろう。
だから俺は葉山に協力を仰いだ。
俺がしたことは簡単なことで常識的で良識的な行為だ。
「イジメを見つけたら咎めてくれ」、「女子のグループにもこの話を共有してくれ」そして、「万が一イジメが発覚した時はお前がイジメを行った生徒をフォローしてやれ」と。
学内でも影響力のある葉山隼人から「イジメは良くない」、「みんな仲良くしよう」と言われればその言葉は、周囲の大人の言葉よりも大きく響くはずだ。
特に女子相手には葉山隼人というブランドの効力は計り知れない。
まあこれに関してはただ念を押しただけだが。
「協力ね………利用しただけだと思うけれど」
だから人聞きが悪いですよ雪ノ下さん。
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