20:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 01:37:44.52 ID:6wSbO7neo
「そう。ならいいのだけれど。あまり信頼してもらえのは傷つくもの………」
雪ノ下が何か言ったようだが、最後の方は声が小さくあまり聞き取れなかった。
「それに………」
と雪ノ下は声のボリュームを取り戻し悪意のある笑みで言った。
「比企谷くんには私の理想とする、私が期待する比企谷くんであってほしいもの」
「!?」
おい…今なんと……。
今なんと仰ったのですか……!?
まさかあれ聞いていたんですか……!?
恥ずかしい恥ずかしい!
終わった…完全に終わった…俺の高校生活が終わった……。
「雪ノ下……盗聴は犯罪だぞ………」
「ただ部室から漏れている声をを聞いただけだから犯罪にはならないわ。それに由比ヶ浜さんも一緒に聞いていたわよ」
黙っているなんて本当にいい性格をしてますね、あなた達に………。
そこで噂をすればというタイミングで由比ヶ浜がノックもせず、「やっはろー!」と部室に入って来た。
「今日は依頼人を連れてきたよ!」
と由比ヶ浜言うと、扉の向こうから平塚先生が入ってきた。
「君たちに依頼がある」
平塚先生は部室に現れるや否やそう切り出した。
そして平塚先生の後ろにはもう一人、後を追うように部室に入ってきた人物がいた。
その人物は俯き床を見つめて、とても居心地が悪そうにしている。
その人物を俺は知っている。
なにせ一週間もの間、観察したのだからだ。
そう、そこにいた人物はイジメを受けていた被害者の女子生徒だった。
「君たち、この生徒を更正させてくれ」
平塚先生にどのような意図があり、被害者の女子生徒を奉仕部に連れてきたのかはわからない。
しかしこれは紛れもなく平塚先生が選択した、イジメを根本的に解決する為の生徒を正しく導く手段なのだろう。
「それは先生からの依頼でしょうか?」
雪ノ下が訪ねると平塚先生は「ああ」と短く答えた。
「平塚先生。わかりました。その依頼、奉仕部で引き受けましょう」
雪ノ下は、二つ返事で依頼を承諾した。
その選択に由比ヶ浜も同意するように強く頷いていた。
「ありがとう。助かるよ」
平塚先生がそう礼を述べた表情はいつも通りの笑顔だった。
そんな表情を見て俺は思う。
俺はこれからもきっと平塚静に期待を寄せるのだろうと。
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