5:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 00:20:51.46 ID:6wSbO7neo
「え…?待って!どうして犯人を見つけるの?イジメを受けているなら、その被害者の子が犯人は誰なのかわかっているんじゃないの…?」
雪ノ下と平塚先生が会話を淡々と進める中、由比ヶ浜が困惑したように言った。
仕方ない、俺が説明するか。
「その可能性もなくはないが、由比ヶ浜、事件の概要からわかることはないか?」
「ん…?酷いことをされている……とか?」
まあ間違ってないですね、はい。
「いや、確かに酷いけど。まず『後ろから泥をかけられる』、『制服が捨てられる』、『トイレの個室の外側から水を浴びせらる』………つまり全て犯行の瞬間、被害者が直接的に相手の姿を見れてない状況なんだよ」
由比ヶ浜は顎に手を当て考えるようにして「あ、ほんとだ!?」と言った。
それにーーー
それに犯人が誰なのか割れているので、あれば平塚先生がわざわざ奉仕部に依頼するはずがない。
直接犯人に制裁を行えばいいだけだ。
雪ノ下に目をやると、事が事なだけに依頼を引き受けるか、俯き悩んでいた。
その間、俺は平塚先生に気になったことを質問する。
「先生、質問したいんですけど」
「なんだね?比企谷 」
「制服捨てられていたり、水をかけられたり、その程度ならイジメと言えるでしょうけど、盗撮や鳩の死骸は度が過ぎている。犯罪でしょう。俺たちではなく他の職員に相談するのは先決では?」
「………うむ。その通りだな。しかし、この件に関しては現段階では私のところで留めるつもりだ」
「………」
「被害者の生徒が公にはしたくないと言ってな。イジメられていることが、他の生徒や家族へ露見するのが嫌なのだろう」
確かにイジメの問題が例えばホームルームなどで議題となれば、十中八九被害者は更なる被害を受けることになるだろう。
それは告げ口した、所謂『先生にチクった』ということが同時に露見することになるからだ。
更には、仮にその方法論でイジメが解決したとしても、残りの在学期間『イジメられた生徒』として後ろ指を刺されながら過ごさなければならないのだ。
それを平塚先生に相談した生徒は危惧したのだろう。
「平塚先生。わかりました。その依頼、奉仕部で引き受けましょう」
しばらく考え込んでいた雪ノ下は、承諾することを選択した。
その選択に由比ヶ浜も同意するように強く頷いていた。
「ありがとう。助かるよ」
平塚先生はそう言って礼を述べたが変わらず浮かない表情だった。
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