218: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/01/12(火) 23:45:59.34 ID:XXo+gIkc0
  
   「……分かりました」 
  
    
  苦々しく返事を返した仙田は、踵を返して自分の持ち場へと急ぐ 
  
  その後ろ姿を眺めながら、自身の次に取るべき行動について考える 
  
  今の自分は一種の観戦武官のような立場で乗船しており、戦闘配備に組み込まれていない 
  
  要するに、決められた持ち場が無く、誰かに指示を飛ばすことも出来ないのだ 
  
  だが、このまま何もせずに見ているのは、あまりにも無責任な話だ 
   
  
    ドガァアン 
           
          ドゴォオン 
    
  
  放火はどんどん激しくなり、砲撃の重低音が臓物に響く 
  
  繰り出される砲撃と風に混ざる炸薬の臭いがあの戦闘を思い起こさせる 
  
  攻撃を受けいるはずなのに確認できないない艦影、そして時折チラチラと波のはざまを移動する黒い影 
  
  これは間違いなくあの時のあいつ、自分たちの船を沈めた深海棲艦に違いない 
  
    
   「クソっ……!」 
  
  
  腹の底から言いようのない怒りが湧きあがる 
  
  奴らが……奴らさえいなければ、下山田もみんな死なずにすんだのに 
  
  もう二度とあんな思いはしたくない、そんな思いが胸いっぱいに広がってきた 
  
  気が付けば、近くの銃座に駆け寄って機銃の安全装置を外していた 
  
  この距離で奴らに命中させることは難しいだろうが、何もせずには居られなかった 
  
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