221: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/01/12(火) 23:52:35.00 ID:XXo+gIkc0
  
   「君嶋少尉!」 
  
  
  そんなこと頭の中で巡らせていると、背後から声をかけられる 
  
  振り向くと、顔を強張らせた野田が立っていた 
  
  彼も同じ目に遭ったのだろうか、軍服の真新しい水の跳ね跡が目に付いた 
  
    
   「ここは危険です」 
  
   「早く船内へ避難してください」 
  
   
  非常時のためか、いつもとは違った緊張感で避難を勧めてくる 
  
  それは有無を言わせぬ、断固とした調子のものだった 
  
  しかし、彼の勧めに乗るつもりは無かった 
  
  今のこの状況、これを黙って見過ごすわけには行かない 
  
  幾ら艦娘とはいえ年端もいかないような少女たちをおとりにして、生き延びるなど言語道断 
  
  そう心に決めると、黙って首を振り、その気がないことを野田に伝える 
  
    
   「何を言っているんですか」 
  
   「ここも、いつ砲撃が飛んでくるか分からないんですよ!」 
    
  
  その答えに対して、野田は激しく反発する 
  
  あまり感情を表に出さない彼にしては、怒りを前面に押し出し、怒鳴るような口調だった 
  
  しかし、それでも答えは変わらない 
  
  何も言わずにまっすぐに彼の目を見つめ返した 
  
666Res/619.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。