234: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/01/16(土) 00:29:56.13 ID:+irLAoS/0
  
   「砲撃が直撃だと……」 
  
   「戦闘海域からは完全に離脱したはずだ」 
  
   「それがどうして」 
  
  
  だが、助けを求められた艦長も冷静さを欠いていた 
  
  目の前で起こっていることが理解できないという風に自問自答しており、返答を返す余裕は無かった 
  
  そんな艦長に痺れを切らしたのか、電話口の男がもう一度指示を仰ごうとしたとき、 
  
  
     ズドォオオン 
  
  
  再び、艦全体に大きな衝撃が走る 
  
  通信機から短い悲鳴が流れ、すぐさまザーッという雑音に塗りつぶされる 
  
  
   「通信……切れました」 
  
  
  小林が押し殺したような声で通信の断絶を伝え、通電を終わらせる 
  
  先ほどの揺れと比較しても、今のは直撃だった 
  
  これから何が起こるかを肌で理解したのか、艦橋の空気が張り詰める 
  
  
   「ぜ、前方に……艦影」 
  
   「……深海棲艦です」   
  
  
  揺れが収まったころ、双眼鏡を手にしていた観測手が声を上げる 
  
  もう誰一人としてその存在を疑う者はいない 
  
  艦橋の全ての耳目が、自分たちを死へ追いやるであろう怪物へと集まっていた 
  
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