473: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/04/25(月) 22:28:54.99 ID:FN+t7kdx0
「無線標識の記録か」
片手でそれを受け取った五十嵐は、右手でペンを持ったまま記録の上から目を通す
2、3枚めくって要点を掴んだのか、机上に資料を置いて、こちらに視線を戻す
「最後の発信は30分前」
「お前が向こうに乗り込んだ頃か……」
独り言のように呟やいた五十嵐は、それきり黙り込む
考える時間をくれといった感じに左手で額を抑えている
おそらく、彼も迷っているのだろう
出撃命令を下す者として、その名目を『救出』とするのか『捜索』するのか
生前の見込みがあり、救出の必要性があるなら今すぐにでも出撃して助けなければならない
だが、生存の可能性が限りなく低いならば、夜が明けるのを待つ方が得策である
結局は自分一人で決めることを放棄したのだろう、額から手を下ろしてこちらの顔を見上げる
「……彼女は生きています」
「生きて、我々の助けを待っているのです」
何を言われるでもなく言い放つ
どうせこの状況で問われるとしたら自分の意見だ
ならば、それは本条大尉に話を聞いた時から決まっている
何としても彼女を救出する……それが掛け値なしの本心であった
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