481: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/04/25(月) 23:29:57.59 ID:FN+t7kdx0
「君嶋特務少尉……」
声を掛けるべきかと迷っていると、不意に名前を呼ばれる
とっさの出来事に返事をする機会を失い、言葉を失う
軍人らしくピンと張った背中を見せながら大尉は続ける
「お前は、どう思う?」
「この……私の決断を」
質問の意味が解しかけて、口ごもる
大尉の言う『決断』とはいったい何の事を指しているのだろう
司令官として鎮守府での救出を諦めたことだろうか、それとも格下に扱っていた防衛隊に全てを委ねたことだろうか
その真意を測りかねて、もう一度聞き返した
「そうか……貴様には分からんか」
「まぁ、それで良いのかも知れないな」
そう呟くと、後ろ手に回していた右手で軍帽のツバを摘んで目深にかぶる
そして、再び数秒ほどの沈黙が流れた後に、大尉が口を開く
『また何か聞かれるのか』と身構えるが、
「アイツは……私が訓練課程を終えてから」
「初めて教育した部下の1人だった」
海を見つめる男は、確かめるような口調で独白を始めた
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