513: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/05/22(日) 22:13:33.10 ID:a8UQq4dj0
奴が航路を変更しなければ真正面にその姿を捉える事ができるはずだが、目の前には黒と藍の一色でそれ以外の物は確認できない
辺りが薄暗く、投光器も使えない状態で一般船舶よりはるかに小さな対象を見つけることは至難の技なのは分かっている
だが、何としても相手よりも先に敵を発見し、先制攻撃を喰らわせなければならない
一向に変化の見られない現状に業を煮やして日下部に確認を取ってみるも、
『自分も確認できていません』
当然ながら彼の回答は予想通りのものであった
それでも、待っていれば嫌でも敵の姿を拝むことになる
現状では想定した状況どおりに事が進んでいるからどうにかなると、自分に言い聞かせる
未だに敵を目視で発見できていないことは不安材料だが、まだ猶予はある
「通信はこのままにしておく」
「何かあったら、連絡を寄こしてくれ」
日下部にそう伝えて、通信機を下ろして小林の方を確認する
しかし、今の発言で察したらしい小林は合図をするまでもなく計器を操作していた
そんな小林を一瞥すると背中越しに礼を言い、再び通信機を寄せる
接続中のランプが点灯した通信機の向こうからは雑音に交じって呼吸音が流れていた
その息遣いは浅く、スピーカー越しに日下部の緊張が伝わってくる
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