過去ログ - 軍人たちの艦隊コレクション
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576: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/07/18(月) 21:21:48.17 ID:+WK9hsMD0

  『悪かった、勝手に飛び出したりして』

  『でも、こうでもしなきゃアンタは動かないと思ったんだ』


  「気にするな」

  「俺も今、似たようなことをしている」
  

 お互い様だな、と仙田は軽く笑いかけてくる

 ああ、と返事をするとこちらも笑い返す


  『じゃあ、そろそろ……』
 

 ひとしきり笑い終えた頃に仙田が別れを切り出す

 それに待ったと声を掛けて止めて、その言葉を遮る

 どうした事かと不審げな彼を尻目に、腰のホルスターへと手を伸ばして先を続ける


  「お前から渡されたハンディカメラ」

  「まだ、預かったままだった」

  「これが終わったら返してやるから、死ぬなよ」


 それを受けた仙田の返事は、『そっちこそ』と短く吐き捨てる様なモノだった

 苦笑いしながらそれを聞いていると、再び彼から返事が返ってくる


  『約束のことは覚えてるだろうな』

  『ダメだったらもう一回撮ってもらうぞ』

 
 一方的な言葉に答える間もなく、直ぐに通信を切られてしまった


  「仙田一等の救命艇、本艦を離れ救出目標へと直進していきます」


 通信の様子を窺っていた大久保が彼の救命艇の発進を告げる

 その報告を受け、前方の景色へと目をやる

 朝焼けが彩る海に、仙田と一之瀬を乗せた小舟が一艘、波を切って進んでいた



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