598: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/08/27(土) 21:01:07.17 ID:lyQ0MxM40
『今の砲撃で砲塔の一部が損壊した様です』
『主砲の発射には影響ありませんが、これ以上右へ旋回できません』
彼の報告は最悪の事態が発生したことを伝えるものだった
現在、この艦は船首を南に向けて進んでおり、南西方向の敵に真東からの接近を試みていた
つまり、このまま敵の砲撃を掻い潜り、右舷正面4キロの地点に居る敵へと一斉攻撃を加えることを想定している
しかし、右舷側に旋回できないとなれば、主砲の発射機能はそこ縄ていないとしても、それと同等の意味合いを示していることになる
「……っ」
言葉にならない悔しさが自分の拳を堅く握りしめさせる
スピーカー向こうの日下部も、報告をしたきり黙りこんでいる
彼も自分と同じく、どうしようもない悔しさに苛まれているのだろうか?
ここまでなのか? 本当にもう……何もできないのだろうか?
自問自答を繰り返すが答えは出てこない
マイクロフォン掴んだまま通信機に両手を付き、がっくりと首を垂れる
「ここまで、か……」
自然にそんな言葉が漏れる
脇で控えている小林も沈黙を保ったまま何も言わない
全てを諦めて思考を停止させようとした、その時、
「まだだ!」
誰かの叫ぶ声が艦橋に響き渡った
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