611: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/10/23(日) 09:40:43.70 ID:Jj5KE7Sa0
「……正面4キロ」
「未だ、攻撃の態勢を崩していません」
日下部との会話に少し遅れて、大久保が敵の動向を報告する声が聞こえてくる
今までレーダーサイトで敵の姿を確認し続けていた大久保だったが、生身の敵の異様さに息を飲んでいるのだろうか
彼の報告にには先ほどまでの覇気を感じられなかった
「俺達はあんなモノを相手に……」
隣からボソリと呟く声が聞こえる
視線を落とすと、通信機の前に腰かけた小林が正面の海を向いて固まっていた
これまでどんな状況でも冷静に自分の仕事をこなしてきた男でも、こればかりは想定外と言うことかも知れない
現実となって目の前に現れた敵の存在感に、皆の士気が衰えていくのが感じられる
だが、敵にとってはそんなことなど構いはしない
「敵艦! 射撃体勢を取っています」
目障りな敵を敵艦を沈めるべく、淡々と射撃準備を整えていた
「砲撃、来ます!」
大久保が警告を発するが、もう自分たちになす術は無い
出来ることがあるとすれば、敵弾が致命傷にならないように祈ることだけだった
そして、次の瞬間には、鼓膜を震わせる爆発音と体が揺さぶれる衝撃が、着弾を知らせてくる
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