612: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/10/23(日) 09:42:17.17 ID:Jj5KE7Sa0
「左舷砲門付近に着弾」
「火災が……発生しています」
何とか艦橋への被弾は免れたが、祈りも虚しく致命傷を喰らってしまった
艦橋からは甲板から立ち上る黒煙が目に入る
『今の場所は……』
通信機を通して今の報告を聞いていたのだろうか、日下部が呟く声が聞こえる
そこから先は何も言わなかったが、言わなくても分かっていた
砲撃の直撃を受けた左舷砲門は、野田上等水兵の配置
つまり、あの炎の中に野田が居るかもしれないということだった
「アイツなら心配いらない」
「こんなに簡単に死ぬ男じゃないさ」
自分で自分に言い聞かせるように、日下部へ言葉をかける
死なないと思っていても簡単に逝ってしまうのは、下山田の件でよく分かっていた
だが、例え嘘だとしても、仲間が死ぬ未来は想像したくなかった
「今は目の前に敵に集中しろ」
「これ以上、奴の砲撃を喰らったらいよいよおしまいだ」
嫌な事から目を逸らすように目の前の敵へと話題を変える
日下部も今すべきことは分かっているのだろう、黙ってこちらの話に耳を傾けていた
666Res/619.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。