638: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/12/18(日) 09:58:20.61 ID:543n5fYR0
「……これは」
艦橋全体を見渡せる位置に立つと、その被害の全容が見えてくる
どうやら、艦橋そのものには大きな被害は無かったようだ
正面の窓ガラスが衝撃によって割れて、中に飛び散っているようだが、それぐらいしか目立った被害は無い
船員たちも殆ど横倒しになったため、ガラスの破片に晒されずに済んだらしい
だが、その窓の向こうには黒煙が立ち上っており、甲板からはチラチラと赤い炎が見えている
そして、そのさらに向こうの水面には、朝日に照らされた敵が居た
「あれは……!」
だが、その輪郭は先ほど見ていたものとは全く違っていた
本体の両側に大きくせり出していた機関部の右側、奴の左舷砲塔に相当する部分がごっそり無くなっていた
砲弾の直撃を受けて吹き飛んだのだろうが、未だに海中へと没しない生命力に驚嘆する
『しょ、少尉……』
その光景に目を奪われていると、首元に掛かっていたヘッドホンから自分を呼ぶ声が聞こえる
直ぐにそれを頭から被り、マイクの向こうの男へ応対する
『……済みません』
『今のでやられちゃったみたいっす』
ヘッドホンの向こうからは日下部が弱々しく軽口を吐いてくる
時折り挟んでくる浅い呼吸が、彼も怪我を負っていることを語っていた
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