643: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/12/18(日) 10:12:12.93 ID:543n5fYR0
通信機の向こうから自分を呼びかける声が流れてくるが、もう耳には入っていなかった
どうせ死ぬなら、やれることをやってから死んでやる
そうでなければ死んでいった仲間たちに失礼だ
士官席から飛ぶように艦橋の中央へ向かうと、散らばったガラスを踏み締めて舵取り台の前に立った
「井上、少し借りるぞ」
足元で倒れたままの井上へそう告げて、両手で舵を握る
『少尉、一体何を……』
ここに来てようやく日下部の声が耳に入ってきた
当然だが、今から自分がやろうとしていることが分かっていないらしい
「敵に突っ込む」
「何かにつかまっていろ!」
一方的に注意を促すと、スロットルレバーを思い切り前へ倒した
その操作によって生まれた加速が慣性力となって、体にのしかかる
『うぐっ……』
耳元には日下部が呻く声が聞こえる
今ので傷ついた体を痛めたのだろうか、浅い呼吸する息遣いが聞こえていた
666Res/619.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。