16: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/11(金) 02:08:19.07 ID:wxXgwuIMo
目的を済ませ、ついでに夕飯の買い物をして穂乃果の家に戻る。
日はすでに傾き始めていて、その光を徐々に赤く染めつつある。生ぬるい風がひんやりとしたものに変わり部屋の中を通り抜けていく。
「そんなところで寝たら風邪引くよー?」
特に風通しのよい窓際で寝そべっていると、エプロンをつけた穂乃果がキッチンから出てくる。フリルのあしらわれた可愛らしいもので、ところどころほつれが見える。
「エプロン、似合ってるわね」
「え、そう?」
おだてつつ寝返りを打つ。眠気はなく、なんともいえない不安感が私を支配する。
家を出たのはいい。帰らないのも自分で決めたことだ。それで、私は何をすればいい?
こうしてだらだらと過ごすのは悪くない。が、決してよくもない。停滞は何も生まず、緩やかな衰退へと向かう。
正直なところ、わからなくなってきた。私がなにをしたくて、何を望まれているのか。
「難しい顔してるね」
ヌッ、と視界に穂乃果の顔が映る。にへらとした笑みを浮かべて、私の眉間に人差し指で触れる。
「何を悩んでいるかはわからないけれど、真姫ちゃんはもうちょっと気楽になったほうがいいよ」
「気楽に?」
「うん。よくわかんないけど、きっと何とかなるよ。真姫ちゃんだし」
「……何それ。意味わかんない」
「案外、なんとかなるもんだよ。実際、音ノ木坂の廃校だってなんとかなったし」
「いや、それはまた別の問題じゃないかしら……」
「一緒だよう。頑張ってればきっとなんとかなるんだよ」
そういうものだろうか?
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