15: ◆tXSQ21DKYs
2015/12/12(土) 01:22:01.98 ID:QvQsG1d2o
「それでは、そろそろお暇させていただきます」
「えー? もう帰っちゃうの?」
「ええ、その……。やらなければならないことがありますので」
意味のない嘘を口にする。本当は居心地が悪いだけだ。
今までに感じたことのないもの。一刻でも早くこの家から、穂乃果から離れたかった。
「そっか。じゃあ、また今度遊ぼうよ。暇な時に」
「そう、ですね。また暇が出来たら連絡します」
「うん、待ってる」
笑みを浮かべる穂乃果を見て、ふと思う。
どうして私は、こうも嘘がつけるのだろうか。
連絡する? できるわけがない。少なくとも現時点で、しようとは思っていない。
「海未ちゃん」
玄関で靴を履く私を、穂乃果が呼び止める。蒼い瞳がまっすぐとこちらを射抜く。
なにもかも見透かされているようで、酷くバツが悪い。
「なんでしょう」
「……ううん、なんでもない」
「そうですか」
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