過去ログ - 八幡『一色と巡った場所を奉仕部3人で巡る』
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名無しNIPPER
2015/12/15(火) 00:43:08.06 ID:8voeH0LLO
小町「お兄ちゃん。お疲れー」
そういってマッ缶を差し出したのはマイ・ラブリー・エンジェルこと妹の小町だ。
仕事終わりのマッ缶ほどありがたいものは無い。流石,俺の天使。俺が欲しいときに俺の欲しいものをすっと出してくれる。
どこの嫁さんだよ。もう妹=嫁の等式が出来ても良いんじゃないかな。
「ありがと。小町」
そういって缶を受け取り,飲む。練乳の甘みが下から喉へと伝わり,俺の疲れを癒やしてくれる。
小町「それにしても大変だったねー」
「ああ。正直,新入生に向けたコラムなんて何書いたら良いのかさっぱり分からんかったし」
小町「小町も春には総武高校の新入生なんだけど。お兄ちゃんは小町に送る言葉とか無いの?」
受験当日までまだもう少し時間があるが小町は俺と同じ総武高校を第一志望にしている。正直なところ,決して余裕がある
成績では無いのだがここ数ヶ月は特に勉強に力を入れていて本人は受かる気マンマンである。
「いっそ小町への愛のメッセージを書けば良かったな。それならいくらでも書ける。なんならプリーペーパー一冊分,軽く書き上げる」
小町「……。お兄ちゃん,流石にそれは気持ち悪いよ」
軽くドン引きした小町を他所に俺は続ける。
「お兄ちゃんっていう生き物は妹への愛で溢れてるんだよ。特に千葉に生息しているお兄ちゃんは」
小町「その情熱の一部でもコラムに向ければあんなに苦労せずに済んだのに」
「馬鹿。小町以外の奴に送る言葉なんか無い。無い言葉を書かなきゃいけなかったから大変だったんだろうが」
無から有を生み出すとかどこのラノベの主人公だよ。
小町「でもなんだかんだでパソコンに向かってるお兄ちゃんカッコ良かったよ。仕事してるって感じで。今の小町的にポイント高い!」
「パソコンの前でカタカタしたり唸ったりしてるだけでイケメンになれるなら誰も苦労しねぇよ」
実際,世の中のほとんどの人がパソコンを持つ時代,今この瞬間も画面と向き合ってる人もいるだろう。
小町「何はともあれ,お疲れ様。」
「こんなのもう二度とゴメンだ。やっぱり働きたくない。絶対に働きたくない」
パソコンの前でカタカタしたり唸ったりするのはもう勘弁願いたい。何か働かずに稼ぐ手段は無いか。
正月に貰ったお年玉,あれで株とかFXとか始めようかな。画面見て,チャート見て,株価の変動を見て,って結局カタカタしたり唸ったりするんじゃねぇか。
自分に適した仕事が無いことに心を沈ませていると,
小町「ところでそのフリーペーパーって見本本とか貰えたりしないの?」
「雪ノ下あたりに確認せんと分からんけどなんで?」
小町「他のみんなより早く読んで予習すれば,高校生活を一歩リードして楽しめるじゃん」
「おまえはそれよりまずは受験勉強に専念しろ」
そう言って苦笑いしながら応えると小町はふくれっ面をしたが改めて小町には総武高校に入学して高校生活を楽しんで貰いたいと思った。
仕事が終わったことに対する開放感と愛しい妹とのひとときに心満たされていた俺はこのとき,全く予想していなかった。
終わったものだとばかりに考えていたこのフリーペーパーがもうひと波乱,引き起こすことになることを。
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