41: ◆bhqb2eR3FNlD[sage saga]
2015/12/23(水) 18:10:50.98 ID:C6Alqp9p0
漣
それが私の名前であり、私を私と認識する為の鎖でもあった
大戦の記憶、最後の瞬間の記憶しかない
艦娘とはそんな存在だと頭では分かっていても新しく手に入れた何かがそれを拒否する
それを口にする事も無ければ、表にして事すらない。それを口にすれば全ての艦娘が疑われてしまう。
だから殺すのだ。この考えを殺して、新たな艦長を迎えて戦場に戻る
はずだった
「ほら見ろ大井君。君と同じ顔で入ってきたぞ。君が何を考えてるか当ててやろう漣君。何故、艦娘が戦わないといけないのか?なぜ現代においてまた戦わないといけないのか?そんなところだ。違うかい?」
この人は何を言っている?なんで漣が考えてる事をわかるの?
「急にそんな事を言われても困ると何度も言ってるじゃないですか提督。だいたい、私もそこいる漣も提督が思っている事を考えてません」
「そうなのかい?残念だ。私が艦娘の立場なら真っ先に考えることなんだが…本当に考えていないのかい?漣君、君の意見を私に聞かせてくれないか?」
意見。私の意見。
「漣はその…大井さんと同じでそんな事を考えて…」
言い切ればいいのに黙ってしまった。大井さんは露骨に舌打ちをして、提督は満足気に笑う。
「それでいい。それでいいんだ漣君。大井君もそこまで気を張らなくても構わない。君達が私の下にいる限りは特に何もしないさ。それより君達の疑問に答えよう。何故、艦娘が人類の代わりに戦うかだね。簡単な事だ。人類は君達に戦ってもらわなければ深海棲艦に滅ぼされるからだ。本当に残念な事に。意味もなく提督などと言った役職を作り、君達艦娘を働かせるブラック企業も驚きの黒さとはこの事だ」
つまらなさそうに紅茶を飲みながら提督は淡々と解説していく
「艦娘が人類に協力的、いや元は人類が産み出したもの故に逆らわない事をいい事に私達は君達を戦場に送り出す。皮肉な事だ。かつては共に死ぬはずの提督、艦長が今は執務室から君達に出撃命令を出し安全圏で君達に死ねと命じる」
「だが私はその事について君達に謝る気はない。そこで謝ってしまえば沈んでいった艦娘やこれから死地に向かう艦娘に殺されてしまうからね」
帽子を深く被り、提督は椅子に深く座り込む。表情は読み取れないがこの人はそう言う人なのだと感じた
「私や君も難儀な時代に生まれ落ちたものだ。敵が人類なら和解の道もあったが異種族、しかも破壊しか望まない者たちを人類は許容できない。殺し殺され、血を血で洗う本物の戦争だ」
「本当に難儀な時代だ」
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