過去ログ - 【Dies Irae】静香「時間が止まればいいと思っていた」
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3:名無しNIPPER[ saga]
2015/12/21(月) 11:03:39.71 ID:p0fT/lmY0
 そこは、あたり一面が黄昏に満ちた世界。水平線の向こうに沈んでいく夕日を背景に、私は彼女を眺めていた。
 目の前に広がる海を眺めながら彼女は鼻歌を奏でる。女の私ですら聞き惚れてしまう透明感のある歌声は、この奇妙な世界に驚く程調和している。

 「血、血、血、血が欲しい」

 だからこそ、それは彼女からはあまりにもかけ離れた言葉だった。口ずさまれたのは血に濡れたリフレイン。
 綴られる歌に合わせて短く結った髪が小さく揺れる。その姿は少女そのもので、純真無垢にすぎる。

 「ギロチンに注ごう飲み物を。ギロチンの乾きを癒すため」

 眩しさすら感じる笑顔を浮かべる少女に見とれる私は、やがてそれに気づいてしまう。
 少女の首元に走る
傷跡。純白の肌に朱を指すそれはやけに艶めかしく肉感的だ。
 そして私は、それを直感的に理解する。
 その創傷は断首痕。彼女が歌うのはリフレインなどではなく、断頭台に呪われたものの呪歌だ。

 やがて、彼女は私の存在に気づくと、微笑みながら私の首に手を伸ばし――




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