過去ログ - 鳰/乙哉「大切な――を奪うには?」
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12: ◆UwPavr4O3k[saga]
2015/12/23(水) 01:51:01.23 ID:U+b18yqK0



<黒組教室/春紀視点>


翌日。


あの後、頭の中がかき混ぜられるような苦しさの後に失神してしまっていたらしく、目を覚ました時には汚れていたシーツや衣服が片付けられていた。

着ている服は……シャツにスカート、制服一式。昨日、コイツに連れていかれた時の恰好。

真新しいシーツのベッドから重たい体を起こしたアタシは、ぼやけた眼で目の前に立っている走りを睨み付ける。

が、昨日の態度は何処へ行ったのやら、清々しい程胡散臭い笑みを浮かべて湯立つコーヒーを差し出してきた。


 鳰「大丈夫っスか? 昨日は、お疲れ様っス」

 春紀「……白々しい」

 鳰「まぁまぁ、昨日の敵は今日の友って言うじゃないっスか!」


好き勝手に体を弄られた事実に対して、怒りよりも先に呆れが来るのは、コイツと会話している時くらいだろう。

飄々とした態度で立ち回るその姿は、狡猾を体現したかのような人間だとアタシは思う。いや、おそらく満場一致で同意を得られる自信がある。

一応、コーヒーは受け取っておいたけど。


 鳰「朝一にコーヒーを飲むとスッキリするっスねぇ〜、この部屋陽当たりも良くて気持ちいいっスよ!」

 春紀「まぁ、確かに陽は当たってるけど……」


熱いくらいの陽射しに目を細めて窓の外を見やる。すると、不意に飲みかけのコーヒーカップを走りが強引に奪い取ってきた。

別に元より飲む気は無かったが、少し苛立ちを覚えてベッドから起き上がろうと力を込める。

が、上手く力が入らない。


 春紀「はぁっ、はぁっ―――お前、また何か入れたのか!!」

 鳰「あはははは!! 春紀さんったら、全く警戒せずに半分は飲んでくれたっスからねぇ。ちょろいちょろい」

 春紀「(胸が、苦しいっ……鼓動が早くなって、熱っぽくて。」


下腹がじわりとした快感に襲われている。


 鳰「簡単な媚薬っスけど、結構な量入れたんで中々辛いと思うっス。あぁそう、力を込めようとすると効果が増すんで気を付けてくださいね?」

 春紀「っく、あぁっ……」


必死に力を抑え、最小限の動きでベッドから足を出して綺麗に揃えられている革靴を履く。

じわじわと攻めてくる快楽に、僅かに震えながらも立ち上がり、荒い吐息を出しながらもなんとかショルダーバッグを抱える。

何よりも怒りと羞恥心を増したのは、その一連の動作をベッドに腰かけながらニヤニヤと眺めてくる走りの姿だった。

苛立ちを抑え、扉をゆっくりと押し開けると、そのまま教室へと向かっていく。


 鳰「"首輪"はいかなる時でも着けておかないと、躾きれてないペットはいつ脱走するかわかんないっスからねぇ。」


飲みかけていたコーヒーを一気にあおり、立ち上がった鳰もまた、タッチパッドを抱えて扉から出ていく。



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