過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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14:名無しNIPPER[saga]
2016/01/01(金) 17:07:28.65 ID:rO7pPSeE0

一口噛めば、じゅわりと広がるあつあつの肉汁が素晴らしい。口の中でサクサクと音を立てる衣は、適度に味が染み込んでいて、味覚を喜ばせる。
続いて口に放りこんだコロッケはチーズだった。とろとろとした食感が、舌を踊るように蹂躙する。これもまた、美味しい。
にやにや、というよりもによによ、が似合うような表情を浮かべる少年の視線に鬱陶しさと気持ち悪さを覚えつつも、最後に豚肉のコロッケを食べ終えると、端的に言った。

「次は11月にして」
「分かりました」

顔を綻ばせて承諾する少年。彼女の言葉を意訳すれば、「美味しかったから次また持ってきて」ということである。今回も成功だ。
実際、彼が持ってきた食べ物そのものに美琴が難色を示したことはない。自分の持ってきたものが全て美琴のお気に入りになりつつあるし、癪であるので絶対に口になんか出してはやらないが、美琴もそのことは認めている。彼は美琴の味覚を完璧に把握しているのだ。(そのことに若干の寒気を覚える美琴である)

美琴が食べ終わった後の包み紙をぐしゃりと潰し、傍にあるゴミ箱へと投げる。
包み紙が綺麗な弧を描いて穴へと吸い込まれていったのを見届けてから、少年は心配そうに尋ねた。

「体は大丈夫ですか?」
「アンタそれ何回目よ・・・・・・」

美琴はその心配に呆れと溜息しか返さない。
心底どうでもいいと思っていることを、こう何度も掘り返されても困るのだ。


「別に。完治ではない、って感じかしら」

この少年に出会った、三日前の時点よりは大分良くなった。
あの時の、ほっとしたような、氷が解けたような彼の顔を思い出して、美琴は顔を顰めた。





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