過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/01/05(火) 20:28:07.74 ID:XPXq+b3k0
「まあでも、君が死んでいなくてよかったよ?」
またしても、思考の海で溺れかけていた美琴を掬い上げたのは、医者のほっとしたような笑みだった。
その言葉に、美琴は曖昧に笑い返す。少々ぎこちなかったかもしれない。
死ぬつもりだった、殺されるつもりだったなど、口が裂けても言えないな、と心の内で呟く。
申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになって、たまらず顔を下げてしまった。
そんな美琴の心情に気付いているのかいないのか、彼は美琴の診察を続けたまま、こともなげに言い放った。
「死体が運ばれてきても、僕は何もできないからね」
え、と美琴は口を薄く開いて声を漏らす。
まるで死体でなければ助けられるかのように、彼は言う。
その真意に、一瞬美琴はぞく、と身を震わせたが、彼はまごう事なく善人だ。警戒心を持つことはない。
だから、ほんの少しだけ、拗ねたように思ったのは。
(もしも、あの子たちを、殺す前にここに運んでこられたのなら)
実験の後も、生きることが可能だったのだろうか、なんて。
とりとめもない、下らない妄想だった。
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