過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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33:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 20:46:02.32 ID:JH8XbMho0

カエル顔の医者が御坂美琴の病室を出ると、すぐそばのベンチで、エツァリと名乗った少年が静かに座っていた。
彼の顔の内側では、様々な感情が目まぐるしく浮かんでは消え、そして浮かぶ、ということを繰り返している。
まるで水面下で吹き出す、淡い気泡のように。
その感情の味は、苦いのだろうか。少なくとも、甘くはなさそうである。

彼は笑顔だった。
貼り付けたような、胡散臭い笑みを湛えていた。
仮面をかぶり、感情を押し殺す。
それによって、彼の内側で弾けるソレがなんでもないことなのだと誤魔化せていると、信じていた。
余りにも、哀れだと、医者は思う。

目には見えない重圧を抱え込んだ、彼のような患者を、医者は何度も見てきた。
いや、彼は患者ではなかったか。
どちらにしろ、医者は知っていた。
その重圧の名を。抗い様のない、纏わりつくヘドロのような罪悪を。

「――ああ、終わったんですね」

エツァリは医者の姿を確認すると、ありがとうございます、と感謝の礼を述べながら立ち上がった。
そのまま腰を45度に曲げる。今時珍しい程に綺麗なお辞儀である。
どこからどう見ても外国人なのに、中々日本の礼儀をわきまえた少年だった。



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