過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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44:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:48:39.41 ID:JH8XbMho0
10032号の首が飛んだあと。
その全てを見終わって。

「……あ」

静寂を掻き消すように絞り出した声は、そんなマヌケな一文字だった。
自然と、体が動いた。
行かなければ、と強迫観念に突き動かされる。
ずるずると、砂利を掴み、這いつくばるようにして頭部のない亡骸へと近づく。
体に力が入らない。意識は朦朧としている。
本当はこのまま、泥沼に沈むように眠りたいくらいだけれど。
それでも、せめてあの子の体を抱いてやりたかった。

そんな美琴の無様な姿をつまらなさそうに一方通行は眺める。
その瞳は何も映していないのと同義だった。
もう興味はかけらも湧いてこない。これではまるで、あの人形と同じではないか。
彼にとって美琴の絶望は、同じ顔の人形が増えただけのことに過ぎなかった。

「……チッ」

一方通行はガシガシと頭を掻いて、無言で彼女から背を向けた。
下らねェ、と独りごちる。何が、なのか主語は言わなかった。恐らく彼にも分かっていないのだろう。
下らねェ、下らねェ、下らねェ――。
繰り返し、呟く。その意味を噛み砕くように。
理解できないものを、理解しようとするように。
苛立ちと、それを消化できない不快感とともに、彼は美琴の視界から消えた。



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