過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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名無しNIPPER
[saga]
2016/01/08(金) 21:50:23.61 ID:JH8XbMho0
そんなことにすら、美琴は気づかなかった。
美琴の視界には、“10032号だったもの”しか映っていない。
長い長い数センチを超えて、ようやく10032号の体に辿り着いた。
鬱陶しい程重くなった自分の体に鞭をうち、上半身を起こしてまだ温かいその体を掻き抱く。
その圧迫で、首元から血がとぽとぽと吹き溢れた。美琴の汚れた制服を濡らしていくが、それすらもどうでもいい。
そう、どうでもよかった。
もうどうでも良かった。
自暴自棄。今の自分にはその言葉が相応しい。
バチ、と火花が散る。
「……もう、いっか」
どうせもう止まらない。
『実験』は終わらない。
憎悪も嫌悪も、どのような「悪」も、きっとあの悪逆非道の化物には届かない。
彼女の手は、妹にすら届かなかったのだから。
赤の他人に、届く訳もないのだ。
「……ああ、でも、そうね、まだ一つ、残っていたわね」
一方通行を倒すだけの力は持っていない。
『実験』を止めることすらできない。
そんな自分にも、しなければならないことが、まだ、あった。
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