18:名無しNIPPER[saga]
2015/12/25(金) 17:25:01.50 ID:lWDqkljoo
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事務所へ帰る途中の車内で、完成したばかりのデモテープを聴いていました。
夢を見るという事を唄った、緩やかに流れるような優しい曲。
まだ練習の予定も立てていないのに、自然と口ずさんでしまいます。
「気に入ってもらえましたか?」
「すっごく。でも意外でした」
「意外……ですか?」
「プロデューサーの口ぶりだと、もっと激しい曲になると思っていましたから」
「楓さんが唄うと激しい曲になりますよ」
プロデューサーに視線を向けます。
彼の視線はずっと遠くを見据えていて、その先で信号が黄色へ変わりました。
「そういう曲だと思います、俺は」
「うーん……まだ、分かりませんね」
「焦る事ありませんよ。練習はこれからです」
「……そうですね」
イヤホンの位置を直して再び膝上の本へ目を落とします。
赤信号に捕まると、プロデューサーが私の膝を覗き込みました。
「活字とは珍しいですね、何を読んでるんですか?」
「ああ、こんな本です」
背表紙をプロデューサーへ向けました。
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