過去ログ - 高垣楓『シンデレラ』
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8:名無しNIPPER[saga]
2015/12/25(金) 15:29:32.80 ID:lWDqkljoo

プロデューサーがちらりと時計を確認します。
11時45分。そろそろ収録へ向かう時間になっていました。
同時に椅子から立ち上がって、そして同時に背伸びをします。

 『あの』

喋り出したのも、同時。
しばらく二人とも口を閉じて、促すような彼の手に甘えました。

 「いいんでしょうか。こんなにもあっさりで」

 「同じ事を言おうと思っていました。いいんですか」

 「私は、プロデューサーがいいのなら」

 「俺も、楓さんがいいなら」

プロデューサーへ右手を差し伸べます。
首を傾げた後、納得したように彼も手を差し出して。
しっかりと、握手を交わしました。

 「でも、引退の時期を勝手に決めてしまえるものなんですか?」

 「楓さんくらいの人気だと間違い無く上の意向も絡んできますが」

プロデューサーが頬を掻きました。

 「同時に、楓さんの言葉はわがままを通せるぐらいの力を持っています。後は――」

同時に二の腕をぽんと叩いて、私達は笑い合いました。


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