6: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:12:01.89 ID:WxlnYw7u0
 「おはよう橘。どうした?今日はオフのはずだけど……」 
  
 ちょうど頭の中に思い描いた人が、事務所のドアを開けてやってきた。 
 大方、誰かの送迎をしていたのだろう。 
 黒いマフラーに黒いスーツ、見ようによっては変質者にも見えるプロデューサーは私の後ろに立ってカレンダーを見つめた。 
7: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:12:40.66 ID:WxlnYw7u0
 はい、とプロデューサーの目をじっと見つめる。 
 すると彼は恥ずかしそうに頬を掻きながらそっぽを向いた。 
  
 「いや……ない、けど」 
 「そう、ですか」 
8: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:14:24.60 ID:WxlnYw7u0
 「問題しかないだろ。いくらオフとはいえ、お前はアイドルだぞ?」 
 「それがどうかしましたか」 
 「どうかしましたか、じゃなくてな……CDデビューもしたばっかりなのに、スキャンダルにでもされたら大変だ」 
 「ではなぜ、渋谷さんや佐久間さんがプロデューサーの家に立ち入るのは許可されているんですか」 
  
9: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:16:13.01 ID:WxlnYw7u0
 「……クリスマスに家にいたくない何かがあるのか?」 
 「今日の夜は両親が共に出かけてしまいまして、家に私一人になってしまうんです」 
 「なるほどな……じゃあ俺の家じゃなくても別によくないか?女子寮に住んでいる子達のとこに泊めてもらえば」 
 「男の人がいた方が、母と父も安心かと」 
 「……余計問題になると思うんだがな」 
10: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:17:45.90 ID:WxlnYw7u0
 「ただし、泊まるのは俺の家じゃなくて事務所。俺も泊まるから、それで勘弁してくれ」 
  
 と、真剣な目をして私に告げた。 
 実は彼の家……というか男性の部屋にも少し興味はあった。 
 しかし、メインはそこではなく、プロデューサーと一緒にいるという事であるため、 
11: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:18:49.65 ID:WxlnYw7u0
 暖房がつけてあるので、寒くはない、けれど。 
 底冷えするような静寂に、私も少し困り果てていた。 
 これなら一人で家にいた方がマシだったか―――と思った時。 
  
 「よし!橘、ちょっと待ってろ!」 
12: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:19:45.38 ID:WxlnYw7u0
 「……小さい、ですね」 
 「まぁ俺と凛、卯月、未央とたまにちひろさんが使ってたぐらいだからこのサイズで十分だったんだ。いつかまた使おうと思って、手入れだけは定期的にしてたんだ」 
  
 私がテーブルを眺めている間に、プロデューサーは黒の敷布団と赤の掛布団、そして黒い鞄を持ってきて、せっせとこたつのセッティングを始めた。 
 暖房がついていて、尚且つ節約ももうあまり必要ないのに、どうしてこんなものを…… 
13: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:21:25.74 ID:WxlnYw7u0
 「そんでついでにこれも見つけてきた」 
  
 どん、と机の上に置かれた、布団と共にプロデューサーが持ってきた黒い鞄。 
 それはなんとなく見覚えがあった。 
  
14: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:22:27.71 ID:WxlnYw7u0
 鞄を開けて、中身を次々と取り出しながらプロデューサーは言った。 
 ミミック姿の幸子さん、アルウラネ姿の夕美さん、そして……パティシエ姿の、私。 
  
 「……ルール、私は知らないのですけれど」 
 「大丈夫、ちゃんと説明するよ。……俺もちょっと、あいまいなとこはあるけどさ」 
15: ◆uCbLPg/WnY[saga]
2015/12/25(金) 21:24:25.14 ID:WxlnYw7u0
 「ちょっと休憩しようか」 
  
 3回目のダイスDEシンデレラを終えたところで、プロデューサーは立ち上がった。 
 ちなみに彼が1勝で、私は2勝だ。 
 楽しい時間が過ぎるのは早いというが、18時ぐらいに始めたはずなのにもう20時を回ろうとしていた。 
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