21:名無しNIPPER[saga]
2015/12/31(木) 01:00:27.52 ID:4lxiKfono
「……んぐ」
先輩が薬を飲んだのを確認してから自転車をこぎ始める。
人気の無い海岸沿いは薄暗くて、明かりと呼べるものはぽつぽつと立った街灯と僕の自転車から伸びるライトの明かりだけ。
普段通っている道はとうに通り過ぎてしまって、今は道なりに道を進んでいる状態だ。
多少休んだとはいえへろへろの足。
自転車の速度低下は自分でも分かる次元になってしまっている。
「少し歩こっか」
「……はい」
気遣ってくれる先輩の言葉に強がる余裕も無い。
このまま海岸沿いを進むとどこへ出るのだろう。
どこの街にも繋がっていないわけはなかろうが。
「うりうり」
「……何するんですか、先輩」
先輩が指先で僕の頬をぐりぐりしてくる。
「難しい顔、してるからさ」
あくまでも軽い口調で先輩が言う。
鏡があれば確認したかった。
僕は今一体どんな顔をしているのだろう。
暗くなければ先輩の瞳に映る自分の顔が確認できたかもしれない。
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