22: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2016/01/01(金) 22:12:07.25 ID:wnhe3YVQ0
金剛の部屋は、雑然としていた。
本棚から出されたと思しき書籍が床に放り出されている。
その一部は紐で縛られまとめられていた。
片付けの途中であったか。
しかし、そこに榛名の姿も、霧島の姿もなかった。比叡もいない。
ここにいるのは俺だけだった。
提督「…………」
ふと、マホガニーの机が目に入る。
金剛の机だ。
主を失った部屋にあって堂々と佇むその姿が、かつてこの机の前で様々記していた金剛の姿を幻視させる。
提督「金剛……」
俺は思わずその机を撫でていた。
かつての持ち主が、そうしていたように。
愛おしむように。
懐かしむように。
ふと、潮騒が聞こえる。
マホガニーの机の一番上の引き出しが、1人でに開く。
金剛が鍵をかけ、日記を閉まっていた引き出しだ。
潮騒の音が強くなる。
そして、引き出しの奥からは白い手が見えた。
その手はまるでいざなうかのように、俺の袖をとる。
提督「……そういうことか」
俺はなぜ榛名たちが居なくなったかを理解した。
嘗てその机を優しく撫でていた指が、俺を海の底へといざなう。
波の音が間近に聞こえる。
金剛「I love you foreve. I need you」完
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