58:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/12(火) 14:34:38.16 ID:KYCpr8EH0
憲兵は門を潜る少女二人に深々と頭を下げる。
鎮守府から出てくる彼女達はただの少女ではない。
艦娘、護国を担う国の宝であり、同時に憲兵がその身を賭して守るべき存在である。
艤装は勿論、普段の女学生のようないでたちでもない。
町に出かけるのだろう、二人は共に私服を身に着けていた。
天龍はジーンズにブーツ、ライダースーツジャケットがスタイルの良い彼女によく似合っている。
潮もまた、紺色のロングスカートに、ファーケープが付いた淡いミント色ポンチョがおっとりとした彼女の魅力を引き出している。
普通の人生を歩いていれば彼女らの年頃ならば当然している年相応の服装のように憲兵には思えた。
「今日は非番なのですね」
「ハイ。それで天龍さんとお買い物に行こうと思いまして」
「俺は特訓してあとは寝てたかったんだよ」
「そんな事言って天龍さんきちんとお休み取ってるじゃないですか天龍」
「あいつ非番取らないとうるせぇんだよ」
あいつというのはおそらく提督のことであろう。素直ではない天龍の物言いに憲兵は微かに頬を緩める。
この鎮守府の提督程艦娘を大切にする提督を憲兵知らない。
彼が娘のように艦娘達を大切に見守り、育てていることを憲兵は知っていた。
そして、その思いに艦娘達もまた気付いている。だからこそ、口では文句を言いながらもこうして素直に従っているのであろう。
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