過去ログ - 結衣「うたかた花火」 【俺ガイル】
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4: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:33:33.97 ID:ZW0eM0mio
あたしが履いてきた下駄がカランコロンと音を立てて跳ねる。履き慣れない下駄の感触はどこか新鮮だった。
たまには、こういうのも悪くないかもと思ったその時――。
「え、うわ――」
5: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:34:16.98 ID:ZW0eM0mio
自分の身体がさわられたのがどこかこっぱずかしくて、そのせいで感謝のたった四文字がうまく言葉にならないのが歯がゆい。
「……人多いと歩きづらいだろうし、どこか人の少ないとこの方がいいか?」
「う、うん」
6: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:34:44.83 ID:ZW0eM0mio
「わりぃな……。ビニールシートとか持ってくるべきだった」
「ううん、いいよ。あたしもそこまで気が回らなかったし」
普段、優美子とかと出かける時はちゃんとそういうところまで考えられるのに、どうしてこういう時には上手くいかないんだろう?
7: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:35:17.13 ID:ZW0eM0mio
「こう、いっぱいドンドンドンドンッ!! ってくるのと、一発ずつドンッ、って間を空けて来るの、どっちが好き?」
「連続打ちか単発打ちかって話か。決まってるだろ。単発だ」
「理由はなんとなくわかるけどなんで?」
8: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:36:06.63 ID:ZW0eM0mio
そうして歩いているといつの間にか人気が少なくなって、お祭り騒ぎも落ち着いてきていた。
「……おっ、ちょうどベンチがあるな。そこでいいか?」
「う、うん」
9: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:37:02.71 ID:ZW0eM0mio
――
――――
このお祭りに来るのは三度目だ。初めて来たのはヒッキーと一緒の時で、二度目は……。
10: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:37:53.72 ID:ZW0eM0mio
――
――――
ずいぶんと歩いてきてしまったせいで花火はギリギリ見えるけど小さい。
11: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:38:43.78 ID:ZW0eM0mio
「…………」
……言葉に出来てたらこんなに苦労してないよー!
それもう「好き」って言うってことじゃん!?
12: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:40:10.79 ID:ZW0eM0mio
「その、連発っていうの? 盛り上がるしいいよね! 一気に明るくなって、夜なのにまるで昼間くらいになって」
突然何を言いだすんだろう、とヒッキーの顔がこっちに向く。その反応を求めていたのにも関わらず、少しドキッとした。
ごめん嘘。本当はすごくドキッとした。
13: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:40:49.07 ID:ZW0eM0mio
こんな言葉じゃ、この人は逃げてしまう。
気付いても、気付かないふりをするんだろうな。
それはヒッキーなりのやさしさなのだ。でもそれは誰に向けたものなんだろう?
14: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/01/08(金) 00:41:58.12 ID:ZW0eM0mio
身体の中の異物がその存在を主張する。
それがどうしてか、どうしようもないくらいに強く胸の奥の何かをギュッと握って、離してくれなくて、なんだか泣きそうになってしまって。
だから――。
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