過去ログ - 結衣「うたかた花火」 【俺ガイル】
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48: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:07:43.90 ID:ZBNG2Zf6o
ずっと、三人で一緒だった。
何をするにでも、その行動の中心には奉仕部という存在があって、つまりはあの二人がいた。
あの空間は三人がみんないないとダメで、誰か一人でも欠けたらそれだけでもう違くて。
49: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:08:14.91 ID:ZBNG2Zf6o
「ふたりのため」と中途半端な気持ちでひとりになって、その結果もっともっと後悔して。
挙げ句の果てにはあたしなしでも楽しそうにしているふたりが羨ましくて、……きっと恨めしくもあって。
いやな子だ、あたしは。
50: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:08:39.57 ID:ZBNG2Zf6o
それからどうやって家に帰ったかはよく覚えていない。その辺りの記憶がすっぽりと抜け落ちている。
気づいたらあたしはまたヒッキーの想いに感づいた時と同じように、布団の中にこもっていた。
あれから何年も経つのに、あたしはまるで少しも変わっていない。
51: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:09:15.22 ID:ZBNG2Zf6o
高三、冬の終り
その扉に手をかけるとほんの少しだけ懐かしい感じがした。最後に来てからまだ一ヶ月くらいのはずなのに、すごく久しぶりのことのように感じられた。
横に力を入れると何の抵抗もなく扉は開いて、廊下よりも少しだけあたたかい空気が鼻をくすぐる。
52: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:09:33.12 ID:ZBNG2Zf6o
今日はヒッキーは来られないみたいで、この部室にはあたしのゆきのんの二人きりだ。
最近はあまり会えなかったからその分いろんな話をした。
勉強のことや試験会場での笑い話。そんな他愛のない話に花を咲かせた。
53: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:10:02.56 ID:ZBNG2Zf6o
話に一区切りがついて沈黙が訪れる。外からはもうあとひと月もすれば最高学年になる後輩たちが部活をしている声が聞こえてくる。
あたしたちの時間はもうすぐでおしまい。
ここにいられるのも、あとわずか。
54: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:10:25.38 ID:ZBNG2Zf6o
「えっ?」
その言葉はとても曖昧で唐突すぎてあたしは思わず聞き返してしまった。でもその意味をすぐに察する。
ゆきのんが問うのはあたしたちが出すべき、三人の答え。
55: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:10:51.75 ID:ZBNG2Zf6o
直球。
これ以上にないくらいに。
あたしがそう聞いた瞬間、ゆきのんの顔はまるでタコのように一気に真っ赤になって言葉をまくしたてた。
56: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:11:17.29 ID:ZBNG2Zf6o
「……由比ヶ浜さん?」
「えっ? あ……、な、なんでもないよ!」
無意識に出てしまった憂鬱を必死に笑顔で隠す。しかしそこはこれだけの長い間を一緒に過ごしてきたゆきのんだ。
57: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:11:43.21 ID:ZBNG2Zf6o
「ゆきのん……?」
「……そうね。じゃあ私から言わせてもらうわ。……私は比企谷くんのことが好きかもしれない」
「……何それ」
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