4:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 01:01:00.77 ID:AHiYG1PX0
ちょっとした不満を込めて彼の方を見ると、彼は無言で私の肩にピンクのトートバッグをかけました。
たぶん、男の人には恥ずかしかったのかもしれません。
バッグの中身は可愛い筆箱と何冊かのノート。よく見ればウサギのアップリケにはネームプレートがついていて、懐かしい気持ちになりました。
「そういえば、大学生活はどうだ?」
「大学、ですか……? いつも通りですけど……」
「そうか、いつも通りか」
彼の歩くペースが遅くなる。遠くからどこかのサークルの笑い声が聞こえてくる。
そう、私はいつも通り、変わらない日々。
朝起きて、大学に向かって、たまに彼のお手伝いをして、家に帰って大学で出された課題に取り組んだり、料理のお勉強をしたり、絵の練習をしたり。
そして昨日も今日も明日も同じ繰り返し、同じ場所へ同じ手段で向かいます。
ああ、確か、洗濯物がそろそろ溜まっていたかもしれない。部屋の掃除も最近はちょっとだけ怠けちゃっています。
子供の頃に詩を綴っていたノートも今は日記帳に変わって、小さな喜びが文字の羅列になって並ぶだけになりました。
ぼんやりと時間だけが過ぎていって、もういつの間にか大学で迎える二回目の冬。
変わらないことはどれほど素晴らしいことでしょう。
変わることはとっても怖いですし、私はいつだって自分の居場所を大切にして、穏やかな日々を過ごしていたい。
あの、机の下の暗くて小さな部屋。小さな私を隠してくれるような、そんな居場所を。
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