過去ログ - 黒髪少女「武器の手入れをお願いします」単眼少女「……」
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35: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2016/01/11(月) 02:21:29.24 ID:X2ffE8rP0
"貴方が私を騙していたことは知っています。貴方が私の創ったものを全て売り飛ばしていたのも知っています"

"それでも私は貴方を愛しています、今でもそれは変わりません"

"愛情の証として、夫婦の契りとして、貴方にその剣を送ります"

"私のお腹に宿った命の鎖はきっと、貴方に感謝する時が来るでしょう"

"私が傍に居れば貴方の迷惑になるばかりです。もう、貴方の前に姿を現す事は無いでしょう"

"さようなら、愛しき人"


彼は、彼女が身籠っていた事を始めて知り、そして後悔した

自分の馬鹿な行いに気づいていながらずっと付き合ってくれた彼女の優しさが、今になって刃のように心に突き刺さったのだ

何とも思っていなかったはずの化け物に、いつの間にか心奪われていたのは自分自身だった

それから彼は、一心に彼女の創ったものを取り戻すために手を尽くすことになる

ある時は脅し、ある時は騙し……どんな手段を使っても、彼女の創ったもの全てを集めると決めたのだ

詐欺師として知られるようになったのはこの頃だろうか……だが、因果応報。そんな彼にも報いは来る

彼自身も騙されたのだ。他の詐欺師に全ての武器を取られてしまった

この頃になると、既に年老いて物理的な手段も行えず、名が知れ渡り過ぎてしまい間接的な方法も取れなくなってしまった。つまりは泣き寝入りだ

過去の行いが自分の首を絞めて今に至る

年老いた自分を看取ってくれる家族も居らず、手元に残ったのはかつて愛した女性が残してくれた、ボロボロになってしまった一太刀の剣

……だが、このまま死にゆくだけの人生を送っていた彼に、光が差し込んだ


「……孫です、あなたの」


大きく美しい瞳、見覚えのある工具、そして特徴的な間を置く喋り方……

彼女の繋いだ命の鎖が、今自分の下へと帰って来たのだ




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